日帝・岸田政権が大軍拡と中国侵略戦争に向かって攻撃を強める中、それと歩調を合わせるように日本共産党は「有事には自衛隊を活用して、国民の命と日本の主権を守る」と表明した(4月7日、志位和夫委員長)。これは日本共産党の「参戦表明」である。日本共産党は「自衛隊=違憲」論すら投げ捨てて、帝国主義戦争に積極的に協力・参戦することを表明したのである。第2次世界大戦でソ連スターリン主義が「民主主義対ファシズムの戦い」と称して米英仏など帝国主義陣営の一方の側にくみして参戦し、世界革命の闘いを裏切ったことの再現だ。本紙3244号3面に続き日本共産党を批判する。
「主権守るため自衛隊は戦え」
戦後世界体制の最後的崩壊のもとで、没落と危機を深める基軸国=米帝は延命をかけて中国侵略戦争―世界戦争を決断し、その一環としてウクライナ戦争を激化・拡大させている。日帝・岸田もまた米帝と一体で中国侵略戦争のために大軍拡と改憲攻撃に踏み出している。戦争の元凶は何よりも米帝をはじめとした帝国主義であり、帝国主義とスターリン主義の双方をそれぞれの国の労働者階級が打倒する反帝・反スターリン主義世界革命こそ、世界戦争・核戦争を阻止する唯一の道である。
日本共産党はまったく逆に「日本の主権を守るために自衛隊員は武器をもって戦え」と命令する側に立つことを公言したのだ。
共産党の「自衛隊活用」論には、安倍晋三が早速、「自衛隊は憲法違反と言いながら、いざという時には守ってもらおうという、いい加減な政党だ」と右側からかみついた。これに対して小池晃書記局長は「あまりにもいい加減な悪罵だ」と反論したが、全然反論になっていない。小池は「中国の覇権主義や北朝鮮のミサイル開発をみれば、すぐに自衛隊はなくせない」と言い訳している。米日帝のものすごい軍事重圧に対して中国・北朝鮮スターリン主義が必死に軍事的に対抗していること——この構造を暴露せずに、「中国脅威論」「北朝鮮脅威論」に完全に屈服しているのだ。
また日本共産党は「憲法9条のもとでも個別的自衛権は自然の権利として存在する」「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、この権利を行使」と言っている。今後、「台湾有事」や「尖閣諸島」をめぐって、日帝が「日本の存立危機事態だ」「主権を守れ」と叫んで戦争に突入した時、共産党はこれに積極的に協力するということだ。戦争が始まる前から「対中国」を口実とした大軍拡や日米安保の強化に賛成していくことも明白である。
帝国主義戦争へ動員ねらうデマ
日本共産党の「個別的自衛権は自然の権利」という主張は、唯物史観に敵対する観念論、デマゴギーだ。
国家も権利も社会のあり方に規定された歴史的な産物であって、階級性を超越した永遠不変の国家、自然の権利など存在しない。国家は階級支配の機関であり、「近代的国家権力とは全ブルジョア階級の共通の事務を処理する委員会」(『共産党宣言』)以外の何物でもない。実際、現在のブルジョア独裁国家こそ労働者階級を「賃金奴隷」として強制労働させ、剰余労働を搾取し、貧困を強制し、生活・生命を奪っている元凶ではないか。
こんなブルジョア国家の「自衛権」など実際には、ブルジョアジーの利益と延命のための侵略戦争に労働者階級人民を動員することを狙ったデマゴギーでしかない。